「華麗なる賭け」
●男の夢想が果てしなきロマンを紡いでゆく、華麗なる童心!

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まさしくこの作品――「華麗なる賭け」の後にこそ<女の時代>は幕を開けたのです。フェイ・ダナウェイの鍔広の帽子、ミニスカートの颯爽たる容姿は、画然たる時代のエポックを感じさせるものでありました。

映画は時代の旬というべきものをとらえる瞬間があります。この作品のリメイクは必要がありません。「おもいでの夏」と共にミシェル・ルグランの双璧というべきメロディ<風のささやき>がこだまします。空と、風と、緑が香るような調べで、映画では男声でありますが、当時モーリン・マクガバンの伴奏なしの歌声がすっかり気に入って、繰り返し聴き惚れたことも思い出します。

男の夢想が、スティーブ・マックィーンの稚気にふさわしく、満たされきらないロマンを紡いでゆく。満たされていること自体にもいささか飽きが来て、心配事など見当たらないと思える状況で、自らの心配事は、「自分の気まぐれ心」――というトーマス・クラウンの、<華麗なる>童心が生むロマン。

スティーブ・マックィーン――自らの仕掛けがズバズバッと成功するサマを見ながら、ひとり自室で欣喜雀躍のはしゃぎぶりを見せて、これほどハマるスターはいません。
ポール・ニューマン('25〜)と或る種共通する、青春の夢想とエネルギーを共に体感出来る時代のスターでありました。

保険会社調査員という地味な響きより、賞金稼ぎとでもいった方がいい
存在の、これも華やかなフェイ・ダナウェイ('41〜)。
ふたりが丁々発止、追跡するものされるものとして心理戦争をする展開、トーマス・クラウンの自宅に乗り込み、図らずもチェスをするときの互いの表情には下手な恋愛映画以上の男女のサスペンスが醸し出されます。

冒頭からモザイク状のマルチ・スクリーンで始まり、これは全編の要所要所で繰り返されますが、スピード感、華やかさ、大胆さ、さらには省略も含め、映画のテンポに大いに貢献しています。
犯罪がゲームを超えるゲームであるのは映画に登場するプロの犯罪者の描き方のひとつでもありますが、その目的が最終的にお金ではなく退屈しのぎ、それも物見遊山などではない、生命の息吹としてのゲームのようである点が、まことにお洒落というしかありません。

主任刑事役のポール・バークもその意味ではスマートで、シャープな映画の流れの重要な登場人物として遜色ありません。
保険調査員などと会っている暇はない、などと言いながら、その当人が颯爽たるミニ・スカートの美人であると察知して色めくのもお洒落な反応に見えてくるほど、映画は泰然とお洒落に奉仕しています。

自家用飛行機、スポーツカー、ポロ、大豪邸――それらに共通するのは、ひたすら日常や生活感からの逸脱です。お洒落というのは夢への奉仕でもあるわけです。

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華麗なる賭け」THE THOMAS CROWN AFFAIR(1968/105分/米UA)
監督:ノーマン・ジュイソン
製作:ノーマン・ジュイソン
脚本:アラン・R・トラストマン
撮影:ハスケル・ウェクスラー
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:スティーブ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ、ポール・バーク

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posted by 映画貴族ニャン at 22:32 | Comment(1) | TrackBack(2) | アクション>華麗なる賭け
この記事へのコメント
TB有難うございます。お洒落な作品でしたね。そしてマックィーンがこんなにもお洒落で色気のある役者だったのか!と驚いた作品でした。フェイもすごく美しい。二人の駆引きがスリリングで大好きな作品です。
Posted by ぶーすか at 2006年10月27日 10:54
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「華麗なる賭け」「ゲッタウェイ」
Excerpt: ●華麗なる賭け ★★★★ 【NHKBS】ブロスナンとレネ・ルッソによるリメイク版「トーマス・クラウン・アフェアー」も良かったが、やはりオリジナルのスティーブ・マックィーン、フェイ・ダナウェイは最高!..
Weblog: ぶーすかヘッドルーム・ブログ版
Tracked: 2006-10-27 10:51

「華麗なる賭け」〜そのクールな眼差しの奥にみえるのは・・・
Excerpt: 久しぶりに「華麗なる賭け」、つまりオリジナルの「トーマス・クラウン・アフェア」を鑑賞した。
Weblog: 取手物語〜取手より愛をこめて
Tracked: 2007-03-16 22:35
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