どうも若い方には不評のようだが、例外もあろうが、或る部分無理かもしれない、と思えるところもある。
ここで描かれるのは恋愛の甘さより多く、苦さをこそ描いているからである。恋愛も場数を経て行けば、この苦さも多く積み重ねていくものなのである。
いささか演じられていることの深さが少しも読めていない若き評の数々である。
監督&製作のマイク・ニコルズは33年前に「愛の狩人」('71)を造り、そこにはこの映画と同じ性愛が主題として取り上げられていた。それをさらに深化し、苛烈に仕上げた作品こそ「クローサー」なのである。
その意味でも、心中、喝采!を叫んだ見事な仕上がりである。
もともと俳優を演技開眼させることではキャリアも凄いし、舞台演出にもキャリアのあるマイク・ニコルズ、このヒット舞台劇の映画化はまさしく好個の素材を得た練達の芸、なのである。
空振りだった方も40代くらいで今一度見直してもらいたいものである。
「クローサー」では「スター・ウォーズ」の王女が、或いは「レオン」の13歳の少女が、輝くばかりの迫真の演技で、そのおとなぶりに感銘してしまう。このナタリー・ポートマンには筆者も開眼の作品である。
とは言っても、彼女の周りはジュリア・ロバーツ、クライブ・オーウェン、ジュード・ロウだから、ひときわ若さがきらめくみずみずしさだ。
この4人の中で唯一、ストレートな心情で、やや屈折と汚濁にもまみれたように見えてしまう3人とは異なる、はじめての屈折と座礁を身幅に添えて懸命に演ずる姿が痛々しくも見事なのである。
主題はまさに男女間にある性愛への感覚の緯度の決定的な違い、である。これほど直接的なベッド・シーンを排して、これほどの男女の性差を描ききったのも驚きだが、丁々発止、選り抜かれたセリフの醍醐味にも酔う。
ここでは恋愛というより、性愛の戦争・戦果が描かれているといっていいだろう。戦果はあったのか。いや、戦禍が残ったのだ。
それでも人は生き、新たな恋愛の闘いを続けていくだろう。それが人生なのだから。
苦いが、冒頭のナタリーの歩みと、ラストシーンに至るナタリーの歩みにはそのすべての時間を包んだ尽きぬ優しき微笑みがある。
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「クローサー」CLOSER(2004/103分/米)
監督:マイク・ニコルズ
製作;ケイリー・ブロコウ&ジョン・コーリー&マイク・ニコルズ&スコット・ルーディン
原作・脚本:パトリック・マーバー
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
音楽:モリッシー 主題歌:ダミアン・ライス
出演:ジュリア・ロバーツ、クライブ・オーウェン、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン
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