「荒馬と女」
●マリリン・モンロー!フォー・エバー!

TheMisfits失敗作ともいわれています。
なるほど主題のありかが鮮明でないとか、分裂しているとか、確かに言えなくはないのです。西部劇としても中途半端ではあります。西部劇らしくない西部劇、失敗作と言ってもいい作品かもしれません。劇的葛藤や盛り上がりに欠けるというのは確かでしょう。

しかし、「荒馬と女」にはモンローとゲーブルがいて、撮影後相前後して亡くなることによって、その遺作としての光背はおのずから異なることとなっていますし、遺作とはなりましたが、筆者にはこのマリリン・モンローが、最も美しく、最も愛しく、そしてもっともモンローにふさわしい作品と感じます。ことモンローにフォーカスするなら、まことに心に響く素晴らしい作品です。
         
モノクロームの映画ですが、存在そのものが派手なモンローには存外このモノクロームの、かえって陰影の濃い、彼女の心象を窺うには格好であったと言えなくは無いと感じます。

それに当時夫君であったアーサー・ミラーの脚本で、いささか溝が目立ち始めたころとはいえ、マリリン・モンローの人となりを知るわけですから、いささかなりと、そこに何らかの投影があって不思議ではありません。ある意味では生きることがとても辛かったモンロー、撮影時にはいつも揉め事を抱えていた不器用で、分裂症じみたモンロー、それでいてとても愛らしく天使のようでもあるモンローが、ここにはきわめてヴィヴィッドに存在している気がいたします。

Misfits3.jpgこんなセリフがあります。        
クラーク・ゲーブルとマリリン・モンローの対話です。      
「あんたは綺麗だ。眩しいくらいだ。都会の他の女みたいに高慢ちきなところがない
……おれには天使みたいに思えるぜ。そばにいることさえ不思議な気がする……でも、何が哀しいんだい。      
おれには時々あんたがひどく哀しそうに想えるが……」    
「そんなこと言われたのは初めてよ。しあわせそうだって、いつも言われるの」    
「あんたを見ると男はしあわせを感じるからだろう」      
「じゃあ、あなたは感じないの」      
「いや、男なら誰だって感じるさ」 
これこそマリリン・モンローのエキスと言えるのではないでしょうか。        
  
その天真爛漫、無垢が、豊満な肉体によく似合って、今では存在を疑われてしまうような、性格の美しさをほんとうに伸び伸びと演じているようにさえ見えます。      
かつてキャサリン・ヘップバーンがいみじくも言った      
「私は男女関係の幸福な時代に生きた」 
その、まだ男と女の間に古典的なセオリーが通用していた時代。

古き良き時代など、実は何処にももなく、人の夢想の中にしかないことが、いつの時代にもあきらかであるにしても、このマリリン・モンロー、「荒馬と女」のマリリンを、自らの夢想の内に持つことを、我々はいつから自らに禁じてしまったのでしょう?        
そう感じざるを得ない、今ではお人好し、と呼んでははばからないに違いない或る美しい性格がここに刻まれています。

Misfits.jpgハリウッドのキング・ゲーブルと呼ばれ、うつし身のレット・バトラーであったクラーク・ゲーブルも、命を縮めたといわれる荒馬の捕獲シーンを男臭く演じていますが、<男女の幸福な時代>の、その典型として生きた彼が、最後にこのマリリン・モンローを憧憬するようなまなざしで、その俳優人生を締めくくったのは、どこか暗示的でもあります。          

モンゴメリー・クリフトもまたこんなセリフを投げかけています。      
「俺が知りたいのは、あんた、誰を、何を信じてんのか。……そこんとこさ」    
「……わからない……ただ、いつも期待してるわ。明日起こることに。……明日には何かがあるって。
誰かの約束にすがったりすべきじゃないもの」           

マリリン・モンロー……まさに時代が生むべくして生み、そして、時代が失わせるべくして、運び去った、映画の奇跡と呼んで、ふさわしい女優なのではないでしょうか。
マリリン・モンロー!フォー・エバー!です。

「荒馬と女」の最廉価へのリンク

レンタルで見るならこちら!

荒馬と女」The Misfits(1961/124分/米・UA) 
監督:ジョン・ヒューストン 
脚本:アーサー・ミラー      
撮影:ラッセル・メティ 
音楽:アレックス・ノース
出演:クラーク・ゲーブル、マリリン・モンロー、モンゴメリー・クリフト、イーライ・ウォラック、セルマ・リッター

Copyright (C) 2007 Ryo Izaki,All rights reserved.



スポンサードリンク
posted by 映画貴族ニャン at 12:26 | Comment(0) | TrackBack(3) | アクション>荒馬と女
Copyright(C)2009by輝ける映画のときめきAll rights reserved
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。