「ディアボロス/悪魔の扉」
●人間も、悪魔も、好きなものは、なあんだ?

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フロリダで活躍中の無敗の少壮弁護士が、ニューヨークの摩天楼さえ見下ろす法律事務所にスカウトされます。その頭領がアル・パチーノ、その少壮弁護士がキアヌ・リーヴス、その妻がシャーリーズ・セロン。
なんといってもこの映画の芯はアル・パチーノです。「ゴッドファーザー」(1972)で、若手俳優だったアル・パチーノが25年を経て、ちょうどマーロン・ブランドみたいなしゃがれ声と貫禄で、昔だったら自分自身の役どころだったに違いないキアヌ・リーヴスに相対します。

アル・パチーノのキャリアを見てきた方にとってはまず、そんな余裕と芸域を愉しんでいるかのようなアル・パチーノが目に留まります。まさにB級映画的ノリのメイクと演じっぷりが、あくどい面白さとでもいいましょうか。
ゴッドファーザー」のとき32歳、この映画のときは57歳というわけですね。

キアヌが33歳ですから‥‥そうした類推も、映画を愉しむ要素になります。
ディアボロス/悪魔の扉4.jpgそして、このイカシてる子誰? と筆者にとってこのときが発見の、初めてのシャーリーズは、久々の曇りなき美人女優、こいつはイケるわいとすぐ好きになり、その冒頭から颯爽と元気でやんちゃそうな女性を演ずる風情で出てきます。4年後、「スウィート・ノーベンバー」(2001)でキアヌと再共演するのですが、時が流れるなかで、彼らそれぞれの役者としての立脚点が3者3様、それ自体が楽しめる映画です。

アル・パチーノが実は悪魔で、それを先に知るのが妻であるシャーリーズというわけで、その明るい曇りなき美人が、どんどん傷つき暗く、沈みがちに落ち込んでゆく様が、またシャーリーズに引き寄せられた理由といってもいいでしょう。
ディアボロス/悪魔の扉9.jpgヘアスタイルから服装からメイクから表情から、どんどん変貌してこれ同じ人?ふたりの女優が、健康と病気をそれぞれ演じているんじゃない?そのくらいのメリハリがあります。そのアンビバレンツな魅力のアラベスク。シャーリーズ・セロン、注目、いまや伝説の初期の代表作ともいえます。

法律事務所をドラマの軸にしているシリアス・ドラマはたくさんありますが、この映画のように、オカルトがらみでコケ脅かしに終わらず、それなりの面白さを保っている映画はあまり記憶しません。
監督のテイラー・ハックフォードは、テレビ時代にエミー賞を2度受賞、映画の2作目が「愛と青春の旅立ち」、これが筆者には最高作と感じます。作品の半分くらいは自らプロデュースも兼ねるケースが多いようですが、商業ベースできっちりした仕事をこなすタイプのようです。奥さんがキャリアの永い女優ヘレン・ミレン。

さて映画の終章で、無敗の少壮弁護士は自ら弁護を降りて、初めて敗北を喫します。弁護するに値しない被疑者だったわけですが、追いすがる記者たちを尻目にすがすがしい敗北感? を胸に立ち去るのですが、その記者の顔が悪魔のアル・パチーノになり、
「悪魔が一番好むものは?」というようなことを言うんです。

何だと思います。弁護するに値しない被疑者でも弁護して勝利してきた弁護士の、教訓ですね。すべては栄達のための犠牲、それを、妻を失って初めて気づくのです。
悪魔が一番好むものは、<虚栄>なんですね。私も、あなたも、気をつけましょう。

<虚栄>よりシャーリーズ・セロンを選ぼう! 二役と見まがう変貌をご覧あれ! しかしこのときその美貌に気を取られ、180cmを超すタッパの女丈夫とはすっかり見落としていました。キアヌよりよく見ると大きい。なかなかのものです。

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ディアボロス/悪魔の扉」THE DEVIL’S ADVOCATE(1997/144分/米)
監督: テイラー・ハックフォード 
脚本: ジョナサン・レムキン&トニー・ギムロイ
撮影: アンジェイ・バートコウィアク 
音楽: ジェイムズ・ニュートン・ハワード
出演: アル・パチーノ、キアヌ・リーヴス、シャーリズ・セロン
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posted by 映画貴族ニャン at 16:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス>ディアボロス/悪魔の扉
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