「明日に向って撃て!」
●優しい微笑みが添えられた西部劇の挽歌。

「明日に向かて撃て!」プログラムポール・ニューマン逝く。その作品をまだひとつも取り上げていないことに気づく。取り上げたい作品は実は目白押し、そのジャンルも多様で、ポール・ニューマンを代表させる作品という意味ではしかし、この作品から始めるのが至当だろう。

逝去の報で書いた「そこにはいつも、男の原像が、薫った」にも、
以前の稿となる「洗練の域にまで高められた反抗の軌跡!」にも、その俳優としての性格を記録したけれども、
明日に向って撃て!」('69)をその手始めとしたいのは、この作品がそれまでのポール・ニューマンが駈け走った、作品系列の集大成のようにも思えるからである。

青春の反逆という主題の集大成――しかしさらには西部劇の終焉の足音を響かせたニュー・シネマの金字塔、或いは文字通り西部劇の挽歌を詠って見せた、ジョージ・ロイ・ヒルとの協奏においても比類なき調べとなったからである。

虚構と実在1ブッチ   虚構と実在2サンダンス
ニュー・シネマにはその2年前にまったく新しい、これも西部劇の終焉を跡付けた「俺たちに明日はない」('67)があり、これまたこのブッチ・キャシディとサンダンス・キッドと同様に、実在のボニーとクライドを取り上げて、フォーカスが180度革新された西部劇なのである。
その二篇の西部劇には青春という2文字で共通しながら、しかしさらにこれは西部劇で書いた抒情詩の趣である。

虚構と実在3エッタ確かに列車襲撃もあれば、銀行強盗もあり、早射ちもあれば、ドンパチの銃撃戦もある。けれどもここでそれは点綴される叙景に過ぎず、すべてはブッチとサンダンスの青春の想いに収斂していく。
まだ新進俳優だったロバート・レッドフォードの出世作でもあり、キャサリン・ロスにとっても「卒業」('67)と並ぶ代表作ともなったのは、自転車を介在とした『雨に濡れても』のバート・バカラックの挿入歌が伴奏するこの3人のトライアングル・ラブの軽やかさではなかっただろうか。

優しく、どこか微笑みの寄り添う西部劇、その影響は日本映画にも表れて、黒木和雄の「竜馬暗殺」('74)は、幕末にそのタッチを持ち込んだと言っていい興趣なのではあった。或る時代の終焉と、新時代の訪れをさわやかに伝えた、あくまでソフィスティケイトされたポール・ニューマンの個性が担う西部劇なのではある。

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明日に向って撃て!」BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID(1969/112分/米FOX)
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
撮影:コンラッド・L・ホール
音楽:バート・バカラック
出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス



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posted by 映画貴族ニャン at 14:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 西部劇>明日に向って撃て!
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